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耐震実験で耐震等級2の住宅が倒壊

今日の日経新聞の記事に「長期優良」でも倒壊という見出しがあった。
記事の内容を読むと、昨日3階建ての木造住宅耐震実験が行われ、耐震等級2の基準に満たされている住宅が振動実験で倒壊したという内容だった。この耐震等級2というのは今年の6月より施行された長期優良住宅に課せられている耐震基準でもある。

実験では1棟は長期優良住宅の基準を満たすもの、もう1棟は接合部を弱くしたもので行った。当初の結果予想では前者の方が倒れずに残るというシナリオだったらしいが、結果はその逆だった。

耐震性能の低い建物は開始10秒後に柱の接合部が壊れはしたものの、完全に倒壊することはなく、逆に震動エネルギーを吸収する形を取って、ねばった感じじゃないだろうか。
一方、耐震等級2の基準を満たす建物は金物でしっかり補強されすぎていてねばりが出なかったのか、20秒間揺らし終わる直前に完全に倒壊してしまった。

写真からは、今まで耐震補強をしたものとしないものの違いで見る印象を受ける。
しかし実験でここまで壊れてしまうとその基準に疑問が出てしまうのは私だけじゃないだろう。
詳しいデータ結果はわからないけれど、数値の上で満たしていても倒壊する時は倒壊する結果となってしまったのはこれからの課題になるだろう。

今、国は長期優良住宅を推し進めているが、実際に設計する側からすればこの結果をみて、基準に合った建物を設計することをも含めて設計する際には注意をしていく必要性を感じてしまう。

国が定めた基準に従って設計はしたものの、評価として高い建物が地震によって倒壊したのでは意味がない。
わたしたちは今、様々な問題に直面してはその基準や、法制化してきているけれど、進むべく方向が正しいかどうかは、もう一度確認しながら、そして検証しながら取り組んでいく必要があると思う。
必要な法整備は必要だけれど、必要以上にがんじがらめにしてしまう必要性があるかは検討すべく課題だろう。

今回の結果からもわかるように基準はその時代のひとつの物差しに過ぎず、必ずしも満たしていればいいわけではないことが分かったと思う。

時代が変われば基準も価値観も変わるわけだし、本来、木造住宅に求められていることは何かを再確認する必要があると感じているし、何が将来長きに渡って求められる価値なのかを設計者として考えていく必要も感じている。

関係者たちにとってはこれはまさに「想定外」だったに違いないけれど、これが実験で良かったという面も一方である。
これを教訓に基準の再点検を行ってほしい。


by zucky67 | 2009-10-28 23:44 | 気になるニュース

design studio bAOBab 鈴木のBLOG さいたま市で住宅を中心に手掛けている設計事務所です。住まいや建築、日々感じること、自分なりのプチハッピーライフを書き綴っています。


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