建物探訪012 (旧山田守邸)
2008年 06月 09日
青山にある旧山田守邸を訪れたのはちょうど桜の季節だった。
青山通りから入った場所にあるため、都会の喧噪が嘘の様に感じられた。
山田守という建築家は自分が生まれる前に既に亡くなられていたが、日本武道館や京都タワーを設計した建築家と言えばわかるだろう。
1920年には堀口捨己や石本喜久治らとともに分離派建築会を組織したことでも知られている。
この建物は1959年(昭和34年)に建てられた物で、現在は2階がギャラリーとして使用されている。1階には蔦珈琲店という喫茶店になっていて、コーヒーを一杯中庭を眺めながらいただいた。過ぎ行く季節を惜しむように桜の花びらが風に吹かれていた。
中には、この庭を楽しみに予約されるお客もいるとマスターが言ったのを思い出す。
いつも思うが、東京の都心部にあってその姿を保存して行くのは大変なことである。
今もあちらこちらで開発が進んでいる中で50年という時間であるが、時代の変化を見てきた建物に触れる機会があるというのは設計をする者にとってとても貴重な体験である。
ましてや個人宅として建てられた建物を残し、保存して行くことが難しいことを考えれば、ギャラリーとして残ったことは、稀であろう。
さてわれわれ世代がやることはこうした建物を次世代に受け継ぐことと、受け継がれる建築を設計していくことだろう。
先の見えない時代といわれるが、先が見える様にしていくのも与えられた課題の一つだと思っている。
by zucky67
| 2008-06-09 17:44
| 建築