今日の1冊 007 川上未映子
2009年 02月 24日
今更ながら、第138回芥川賞受賞作である川上未映子さんの「乳と卵」を読んだ。改行なしの大阪弁の文体は自分にとっては新鮮だったが読みにくい、というのが最初の印象だ。
読み進んでいくうちに慣れてくるけれど、独特の世界感は感情移入するというか、その場面に入り込むまでには時間がかかった。(というのも登場人物は女性であるためだろう)
また「なんでやねん」、「お前アホか」みたいなイメージが強すぎるのだろうか、大阪弁の言い回しが普段テレビなどで耳にする言葉と書き言葉になるというか、文章で表現されるとなんとなく読みづらくなるのだなと感じた。
まあそれだけ話す行為と読む行為には差があるということだろう。
最近はネットによって話し言葉と書き言葉に差が無くなって来ているけれど、時代によって言葉の使い方は変わるものなので仕方がないことだと思っている。
さて物語としては豊胸手術を目論んでいる姉と、言葉を発しないその娘が大阪から上京して来た三日間を描いた日常的な関係の中に非日常的な関係を組み込ませる少し不思議で、それでいて現実的な内容になっている。平凡な日常生活の中のリアリティさがあるにもかかわらず、非日常空間と時間が淡々と経過していく様子を描いていているところがいいのかもしれない。
先にも書いた様に文章は読みづらい(自分にとって)けれど、短くてすぐに読めると思いますので、まだ読んでいないかたは一度読んでみてはいかがでしょうか。
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by zucky67
| 2009-02-24 22:08
| 本