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またしばらく更新が滞ってしまった。
少し油断するといつもそうだ。
1月もあっという間に終わってしまい、このままだとすぐに3月、4月となってしまう勢いだ。

さてたまには建築関係のネタもということで、今回はひさびさの建物探訪です。
今回は先月の31日をもって一般公開が終了した神奈川県立近代美術館 鎌倉。
通称「カマキン」なんて呼ばれているようで、個人的には今回初めて知ったのですが、たぶん訪れたのは数年ぶりくらいでしょうか。
何度か訪れたことはあったのですが、今回は閉館を惜しむ人たちで行列が出来ていました。

日本初の公立近代美術館として1951年(昭和26年)に開館。
戦後間もない時期にニューヨーク、パリに次いで世界で3番目の近代美術館だという。
そんなカマキンが建つ敷地は鶴岡八幡宮の境内。借地契約満了に伴い、敷地返還するため65年の歴史に幕を閉じる。
鎌倉館本館はとりあえず、保存される方向で調整されているようだが、隣接する新館と学芸員棟は取り壊されるのが決まっている。
建物の寿命というのは様々な要件によって決まってくるが、こうした美術館でもなかなか100年以上維持されるのは難しいのでしょうね。
ただ機能や用途を変え、その後半永久的に残ってほしいとも思う。
今でこそ、鶴岡八幡宮の境内に建つカマキンは風景の一部と化していると思うが、竣工当時はどうだったのだろう。
建物が風景化するには時間がかかるし、それを維持するにはコストもかかる。
時代とともにそのニーズが変化し、機能が追いついて行かなくなり、耐震性の強化も必要となれば、新しい技術で最新のものを望むのが日本の実状といえよう。
文化的価値、歴史的価値のないものは壊され、新しい建物が建つ。
こうして古いものが残るという機会は極力少なくなり、新しいものに置き換わっていき、風景も時代とともに変化していく。
今回は本館が残るということが救いである。
どういう形で今後、残されるのか注目したいですね。
できれば一般公開してほしいものです。

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カマキン自体はこじんまりとしたちいさな美術館。
完成当時は自然光を採りいれるためのトップライトがあったそうだ。
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やはり平家池に面した1階のテラスが一番の見せ所である。
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階段の手摺はシンプルかつ大胆なデザインであるが、綺麗な曲線で仕上げている。
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中庭。
開館当初は北側の壁面に映画を投影するスクリーンがついていたそうだ。
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中庭側の大谷石の壁にあけた隙間にはめこんだガラスブロック越しの中庭。
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閉館前にカマキンを訪れることができてよかった。
結局、数えるくらいの回数しか行くことが出来ませんでした。
またいつの日か訪れることが出来ることを楽しみにしていよう。

日々の出来事住まいとくらし

二人の造家師が住まいを提案する design studio bAOBab

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by zucky67 | 2016-02-02 11:55 | 建築
今回は、ご存知の方も多いかと思いますが、前川國男自邸です。

メンテナンスで外壁を塗ったのか、以前見たよりも色が濃い印象でした。

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この住宅は江戸東京たてもの園に移築され、見ることが出来る1942年(昭和17年)に建てられた65年以上前の木造住宅である。

先日行ったときはたまたまミニコンサートが開かれていて内部の一部にしか入れず、残念でしたが、何度も見てみたい建物の一つです。

建てられた当時は、戦時中で資材不足で建築統制規制で小規模な建物しか建てられなかった。先日ご紹介した林芙美子記念館も同じ境遇の下で建てられた住宅でした。

一時的に前川事務所としても使われましたが、開放的なプランと大きな切妻屋根(民家風)を持つシンプルなデザインは時代を経ても飽きのこないデザインになっていると思います。

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行くと分かるのですが、この建物には11の秘密と5つの謎が隠されています。まだ行って見たことのない人はぜひ一度、自分の目で確かめて見て下さい。

また江戸東京たてもの園には他にも多くの建物が移築保存されていますので、それぞれの時代の住居形式の建物に触れることが出来ます。時代を経て残ってきた建物の居心地の良さ、文化財的価値の空間体験をすることで少しでもご自分のすまいを作るときの参考にしてみてはいかがでしょうか。

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機能性、見た目の意匠性だけでなく、住まう空間の心地よさには、スケール感や余白、抜ける、たまるスペースなどをつくることでゆとりが生まれます。

これから家を建てようという方も予定のない方も機会を見つけて自分にあった空間の心地よさを探してみてもいいかもしれませんね。

さて次はいつ行こうかな

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by zucky67 | 2008-06-26 13:33 | 建築
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青山にある旧山田守邸を訪れたのはちょうど桜の季節だった。
青山通りから入った場所にあるため、都会の喧噪が嘘の様に感じられた。

山田守という建築家は自分が生まれる前に既に亡くなられていたが、日本武道館や京都タワーを設計した建築家と言えばわかるだろう。

1920年には堀口捨己や石本喜久治らとともに分離派建築会を組織したことでも知られている。

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この建物は1959年(昭和34年)に建てられた物で、現在は2階がギャラリーとして使用されている。1階には蔦珈琲店という喫茶店になっていて、コーヒーを一杯中庭を眺めながらいただいた。過ぎ行く季節を惜しむように桜の花びらが風に吹かれていた。
中には、この庭を楽しみに予約されるお客もいるとマスターが言ったのを思い出す。

いつも思うが、東京の都心部にあってその姿を保存して行くのは大変なことである。
今もあちらこちらで開発が進んでいる中で50年という時間であるが、時代の変化を見てきた建物に触れる機会があるというのは設計をする者にとってとても貴重な体験である。
ましてや個人宅として建てられた建物を残し、保存して行くことが難しいことを考えれば、ギャラリーとして残ったことは、稀であろう。

さてわれわれ世代がやることはこうした建物を次世代に受け継ぐことと、受け継がれる建築を設計していくことだろう。
先の見えない時代といわれるが、先が見える様にしていくのも与えられた課題の一つだと思っている。

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by zucky67 | 2008-06-09 17:44 | 建築
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さて今日は、3月に訪れた林芙美子記念館です。70年近く前に建てられた木造平屋建の建物です。
ちょうど季節も良く桜が満開でした。
この林芙美子記念館は旧林芙美子邸で設計は山口文象氏によるものです。

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林芙美子記念館の屋根。大きな樹木に囲まれた環境に瓦屋根が合う。


記念館入口のアプローチには家をつくるにあたってという林芙美子自身の言葉が書かれていて、その思い入れがよく伝わる文章です。
詳細は行かれた時、確かめてみて下さい。
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母屋の茶の間。今では茶の間と客間がリビングに変わっている。

この建物は母屋とアトリエ棟の分棟形式になっている。これは建てた時期が戦時下ということもあり、住宅のボリュームに規制がかかっていたためだそうだ。
今でも、法律や規制によって思うどおりにならなかったり、社会状況によってデザインが左右されるケースがある。
昔とは時代も変わっているので、一概には言えないけれど今後、原油高や地球温暖化など社会の不安定要素が多くある現代においても何がどうなるかわからない状況にあると思っていい。
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住宅には住まい手の物語がある。
一つ一つが違っていて当然である。
「林芙美子 巴里の恋」を読むとパリ留学中の様子や部分的ではあるが林芙美子の人物像を把握することで、この建物がどういう人の思いによって建てられたのかその意味を少しでも理解することが出来たように思う。

現代の様に選択肢が多く、材料も幅広く存在する中での住まいづくりではないため、どこかしら日本の原風景的雰囲気を醸し出す建物になっている様に感じた林芙美子記念館。
ただ一方で当時、こういう住宅に住めたのはごく一部ではないだろうかということも想像でき、日本人の住まいのあり方を設計者としてどうあるべきかを考えさせられた。

住宅に限らず、建物はその時代の社会状況、周辺環境、敷地条件、設計条件、施主の嗜好、設計者の嗜好、様々な要件が整って初めて建物のデザインが成立し、更にそれを造る人たちがいて初めて存在できる。

先人たちが残してくれた物に触れることはいい刺激にもなるし、設計活動の糧にもなる。
これからも出来るだけ多くの建物に触れて行きたい。
そして今後も長く残って行く建物を設計できるように心掛けて行きたい。

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by zucky67 | 2008-06-07 13:06 | 建築
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吉屋信子記念館の次に鎌倉文学館を訪れた。
国の登録有形文化財にも指定されているこの建物は1936年(昭和11年)に渡辺栄治氏設計、竹中工務店施工によって建てられた旧前田侯爵家別邸であった。

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建物の中(内部は撮影禁止でしたので)からはもっと良く見えるのですが、庭からも相模湾を見下ろすことができ、心和ます贅沢な景色でした。

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庭にはバラ園があって、6月1日までバラまつりが開催されてます。訪れたのはゴールデンウィークだったのであまり咲いていませんでしたが、今はきれいに咲いているんじゃないかと思います。

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文学館へと続くアプローチの新緑のモミジ。太陽の光越しの緑がとてもきれいで、フィトンチッド効果があるのかないのか、木陰は周辺の気温に比べ低く、空気もさわやかで新鮮な感じがして、あらためて自然のパワーを実感しました。

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by zucky67 | 2008-05-30 12:48 | 建築
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現在は市民の学習施設として利用されている吉屋信子記念館(旧吉屋信子邸)。
吉田五十八氏による設計で期間限定で公開されている。
ゴールデンウィーク中は一般公開されていたので見に行った。


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吉田五十八設計の建物は初めて経験で現代数寄屋建築の印象が強いけれど、デザインがすっきりしていてモダニズムにも通じる落ち着いた印象を受けた。

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この建物は昭和37年に建てられ、70坪程度の木造平屋となっている。また敷地は570坪ほどある。これらは故吉屋信子さんの遺志により、鎌倉市に寄贈された。

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北側に設けられた書斎の窓から見える藤棚。トップライトからの光がとても印象的でした。


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庭から自然豊かな環境の中に佇む建物を見ると、こういう環境で創作活動をすると自分の中からどういう物が生まれてくるのだろうか。思わず考えてしまう。
期間限定ではありますが、見学出来るので鎌倉に行った際は見に行かれてみてはいかがでしょうか。

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by zucky67 | 2008-05-26 22:59 | 建築
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先週、東京カテドラルを見学してきました。
今回、初めて見たのですが、やはりその存在感、力強さ、たくましさ、そしてエネルギッシュなパワーに圧倒された感じです。
昨年、大改修工事が行なわれてリニューアルしたとはいえ、これが40年以上も前に建てられた建物かと思うと世界の丹下が遺したものは偉大である。

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この建物は計8枚の互いに支持し合ったRC造のHP(ハイパーポリック・パラポロイダル=双曲放物面的)シェル構造で地下にはそれらをつなぐタイビームが設けられている。平面的に上から見ると十字形をしており、その部分がトップライトとなって、天井から十字の光がふりそそぐようになっている。

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内部空間は荒々しいコンクリートの打ち放しで、天井が高く教会としての崇高な空間を現代の技術とデザインで見事に昇華させている。残響時間も苦労したようだが、次回は日本最大というパイプオルガンの生音をぜひ聞いてみたいものだ。

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この東京カテドラルは都市的スケールを持ったシンボリックな建物である。国立代々木競技場や広島ピースセンターもそうだ。そして都庁も。
時代というのもあったかもしれないが、都市の中でこの建築が存在することを表現するとこうだろうという感じで、現代の建築には感じられない圧倒的な存在感は良い意味で都市にインパクトを与えている様に感じた。そしてこれから先何十年とその姿は東京という都市の中で生き続けていくに違いない。

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残念ながら内部は撮影禁止だったので、写真はありません。ぜひ1度その内部空間を体験しに足を運ばれてみてはいかがでしょうか。


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by zucky67 | 2008-04-02 00:34 | 建築

4年目突入

さて今日から4月。
このブログも4年目に突入しました。
これからもコツコツやって行きたいと思ってます。

先週、建築士会で東京カテドラルから林芙美子記念館まで歩く見学会が行なわれ、参加してきました。
詳しくは建物探訪で紹介して行きたいと思います。
東京にはまだまだ見た事の無い多くの建物が存在する。一方で見ないうちに取り壊されて行く建物も多くある。
できるだけ機会を設けていろいろな建物に触れて行きたいと思っています。

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by zucky67 | 2008-04-01 13:54 | 雑記
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土浦亀城自邸。以前から一度見てみたい建物の一つであった。目黒駅から歩いて閑静な住宅街を入って行くとそれは佇んで建っていた。平成七年に東京都指定有形文化財に指定されている。
土浦亀城氏はライトのもとで学び、帰国後、日本における国際様式のリーダー的存在として活躍した建築家である。
この自邸は1935年に建てられた、今から73年前の地上2階、地下1階。建築面積は59.40m2、延床面積は116.2m2とそれほど大きくない木造住宅である。しかしその内部は4層のスキップフロアになっていて、大きな開口部とともにその空間をダイナミックに演出している。(これは写真から受ける印象ですけど)今ではこうした空間構成は当たり前のように用いられているが、当時としてはとても斬新だったのではないだろうか。
一方、外観はヨーロッパから興る白くて四角いいわゆる近代建築(インターナショナルスタイル)を表現し、当時、洋風住宅から都市型住宅へと転換して行く住宅史の流れを知る代表的な住宅に位置づけられている。
RC造を基本とした白くて四角い造形のインターナショナルスタイルを木造で表現し、日本的風土を考慮に入れて庇を用いたデザインは今見ても洗練されている。機会があれば今度はぜひ中を見てみたい。しっかり手入れして行けば木造住宅でもかなり長い間住み続けられ、日本の住宅平均寿命が30年程度というのは、やはり問題である。
設計活動ををしている身としてはやはり長く使い続けられる、そして残して行きたいと思われるすまいを創って行きたいと思う。

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by zucky67 | 2008-03-10 12:39 | 建築

design studio bAOBab 鈴木のBLOG さいたま市で住宅を中心に手掛けている設計事務所です。住まいや建築、日々感じること、自分なりのプチハッピーライフを書き綴っています。


by zucky67
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