歌舞伎に行ってみた その3

劇場内の様子はこの辺にして今回観て来た演目について少し触れておきます。
まず最初の演目「祝初春式三番叟」は、人間国宝中村富十郎(80歳)が演じる翁、三番叟に梅玉、千歳に松緑、菊之助という配役。「三番叟」は能「翁」の役名に由来し、「式三番叟」は「翁」を歌舞伎舞踊化した作品ということだ。素人目には観ていて能の動きと同じように感じられた。能と歌舞伎の違いがよくわからなかった。この演目は節目に演じられているらしく、今回のさよなら公演の幕開けにふさわしい演目だそうだ。約40分の演目が終了し、15分の幕間をはさみ2番目の演目は「俊寛」。知っている役者といえば松本幸四郎演じる俊寛、丹波少将成経演じる市川染五郎。他にも有名な方も出られているのだが、歌舞伎初心者としてはやはりテレビに出ている方しか知らない。ただメイクをして衣装に纏った姿では判別が難しい。声も歌舞伎調のセリフ回しのため、わかりやすい人、わかりにくい人がいる。ましてや現代語ではないために聞き取りにくいものや意味不明の言葉などがあるためより難しい。しかしそういう時のためのイヤホンガイド。わかりやすく説明をしてくれた。ただセリフや唄、三味線、小鼓などがかぶる時がある。そうなると聞き取りにくくいのが難点だ。(どちらに集中すればよいか戸惑ってしまう)
この演目では遠近法を使って舞台に奥行き感を出したり、回り舞台を活かした演出を行なって、その情景や世界観を表現していた。現代ではこうした舞台構成は可能になっているが江戸時代の時はどうしていたのだろう。とふと考えてしまう。また電気もなかったので照明効果も期待出来ない昼光利用しかなかった時の歌舞伎の演出とはどういうものだったのだろうか。伝統芸能とはいえ、現代の技術を活用出来るため、おそらく江戸時代に実際演じられていた歌舞伎の世界とは少し違ったものだったのだろう。娯楽が満ちあふれている今の時代と昔では歌舞伎の楽しみ方も変わって来ているのだろう。そう考えるのも受け継がれて来た伝統文化に触れてみなければ普段はあまり意識しないことだ。俊寛は1時間15分にも及ぶ演目だった。
次の演目までの幕間は30分、この間に買っておいたお弁当をいただきました。ちょっと座席でお弁当というには先述しましたがちょっと狭い。さて次の演目「十六夜清心」では、尾上菊五郎が清心役、そして鬼平こと長谷川平蔵でおなじみの中村吉右衛門が俳諧師白蓮、もうひとり鬼平に出てくる火付け盗賊改め方の小林こと中村歌昇が船頭の三次役で出ていました。中村吉右衛門は長谷川平蔵を少し歌舞伎風にした感じのセリフ回しだったのであまり違和感はなかった。そして昼の部のトリの演目は、坂東玉三郎が独演する「鷺娘」。こちらの舞台は一転し雪が舞う銀世界。艶美な舞を玉三郎が演じた。また舞台上で一瞬で衣装が変わる引き抜きというものも初めて観ました。また衣装がとても色鮮やかに舞台映えしてとても綺麗なステージだった。(内容的にはちょっと重いテーマなのですが)
11時から4時までの5時間(幕間も含めますが)という長丁場。チケット代は少し高めですが、これなら納得。一幕見席や3階席であればリーズナブルに歌舞伎を楽しめるので一度日本の伝統芸能の歌舞伎を鑑賞することもいいのではないでしょうか。両サイドには桟敷席があったのでいつかこの席で鑑賞したいですね。(といっても今の歌舞伎座があるうちにもう一回来れるかちょっとわからないですが)

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ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、歌舞伎役者には屋号があります。有名どこでは松本幸四郎、市川染五郎などは高麗屋、中村吉右衛門は播磨屋、中村勘三郎は中村屋、尾上菊五郎は音羽屋、坂東玉三郎は大和屋、中村富十郎は天王寺屋といった具合にそれぞれ屋号が違い、大向こうから掛声がかかります。この掛声のタイミングは当然素人では難しい。毎回そうなのだろうが、今回も掛声をかける人はちゃんと分かって絶妙なタイミングで掛声をかけていた。(同じ人しか掛けていない様に聞こえましたが)掛声がかかるのは知っていたのですが、実際に屋号と苗字が違うこととこれほど多くの屋号があるということも今回初めて知りました。行ってみないとわからないことや体感してみないとわからないことがまだ沢山あるということに今更ながら気付かされました。

人生の中で触れることができるものは限られています。日本に生まれ育って来た以上、少なくとも日本の文化的なものに関しては少しでも触れておくことは大切なことだと思うし、触れて行った方がいいと最近になって思う様になりました。

今回初めて歌舞伎に触れてみてこれほどおもしろいものだったのかと思いました。一等席で観るには少し高いので続けて何回も行けるものではないが、1年、半年に1回というペースであれば観てもいいかなと思います。それだけ十分に楽しめる要素が歌舞伎にはあるように感じられたし、また機会を見つけて来てみたいものです。しかし次はいつになるのやら….。
今後も歌舞伎に限らず伝統文化、芸能にふれる機会を増やしていけたらいいと思います。

今の歌舞伎座が無くなるのは惜しいですが、新たな歴史の一ページを記すことが出来ると思えばいいのかなと思います。歴史を重ねるということは不変な面と変化する面の両方を持ち合わせることなのだと思う。

さて次は落語かな?......おわり。


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by zucky67 | 2009-01-11 14:43 | 日本の文化に触れる

design studio bAOBab 鈴木のBLOG さいたま市で住宅を中心に手掛けている設計事務所です。住まいや建築、日々感じること、自分なりのプチハッピーライフを書き綴っています。


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